Unreal Fest Tokyo 2026閉幕 UE5.9のプレビューを発表、UE6ではブループリント廃止とVerse移行の方針


12年目のUnreal Fest Tokyo、30以上のセッションで2日間開催
Epic Games Japanは、Unreal Engineの公式大型イベント「Unreal Fest Tokyo 2026」を、2026年11月3日(火・祝)と4日(水)の2日間、東京・有明のTFTビル西館(TFTホール)で開催しました。今年で12年目を迎えたこのイベントでは、史上最大規模となる30以上のセッションが行われ、ゲーム、自動車、映画・テレビ、建築、シミュレーションなど幅広い分野から、Unreal Engineの最新技術と活用事例が紹介されました。
初日の基調講演には、Epic Games CEOのティム・スウィーニー氏と、Epic Games Japan代表の河﨑高之氏が登壇しました。スウィーニー氏はUnreal Engine 6に向けたビジョンを語り、河﨑氏は近日公開予定の「Unreal Engine 5.9」のプレビューを発表しています。

スウィーニー氏が示したUE6への道のり
スウィーニー氏は、日本のゲーム開発者の創造性と世界的な影響力をたたえる言葉から講演を始めました。最初に取り上げたのは、発売後1か月で100万本以上を売り上げたセガの『Sonic Racing: CrossWorlds』と、「ソニック」IPの『フォートナイト』への進出です。あわせて、『フォートナイト』内での体験制作から歩みを始め、元々UEFN(Unreal Editor For Fortnite)の開発者だった日本のインディー開発者、Lemorion氏とHaganeiro氏が開発したブレイク作『めっちゃカメレオン』も紹介されました。同作はSteamでの発売からわずか2か月で2,000万本以上を売り上げ、Epic Online Servicesの支援によって同時接続プレイヤー数34万人のピークに達しています。
これらの事例は、確立されたIPを『フォートナイト』に持ち込んで新たなオーディエンスに届けることと、『フォートナイト』で成功した新進気鋭の開発者が世界的なヒット作を生み出すことの両方を示すもので、Epicのオープンエコシステムが持つ「双方向の価値」を実証するものとして紹介されました。また、UEFNのローンチ以降に『フォートナイト』の開発者へ支払われた累計報酬額が10億ドルを突破したことも発表されています。
UE6については、Unreal EngineとUEFNを、オープンで相互運用可能な基盤の上に構築された単一の統合エンジンへとまとめるビジョンが示されました。クロスプロモーションやポータブルなプレイヤー価値を通じてエコシステムを成長させる新しい方法をゲーム業界に提供し、体験とソーシャルグラフを結びつけることで生まれる「ポジティブサム効果」を最大限に活用することが目標とされています。注力する主要分野としては、次の2点が挙げられました。
- USDやglTFといったオープンスタンダードへのさらなるサポート
- VerseとScene Graphの統合
また、Unreal EngineにおけるAI統合についての基本方針も共有され、開発者自身によるコントロール性と柔軟性を重視する姿勢が強調されました。EpicはMCPプラグインを通じて、開発者が選んだAIモデルを柔軟に使える環境を目指しており、特定のAIモデルやプロバイダーに縛られることなくワークフローの加速を支援するとしています。
さらに、2027年後半に予定されている最初のUE6プレビューに向けて、大幅なアーキテクチャの刷新が行われることも明らかにされました。ゲームプレイ開発はVerseへ移行し、UE6プロジェクトにはブループリントおよびC++ Gameplay Frameworkが含まれなくなります。この変更は、単なるAI効率化のためだけではなく、Epicが目指すオープンエコシステムの未来像に向けたもので、より大規模かつ安定的でスケーラブルな開発基盤を実現するためのものとされています。AIがブループリントよりもVerseコードをはるかに高精度に読み取れるという点から、次世代のAI支援ワークフローも見据えた決断だと説明されました。
長年愛されてきたブループリントの廃止について、スウィーニー氏は開発者とコミュニティへの深い敬意と率直な謝意を示し、「ゲーム産業の大きな転換期を共に乗り越え、新しい言語とともに未来へ挑戦していきましょう」と呼びかけました。UE5開発者の移行支援としては、まず『フォートナイト』上で移行プロセスを検証し、そこで得た知見や移行ツールを開発者コミュニティへ順次共有していく予定です。

河﨑氏がUnreal Engine 5.9のプレビューを発表
続いて登壇した河﨑高之氏は、「We succeed when you succeed.」という同社の理念を掲げ、日本の開発者支援へのコミットメントを改めて示しました。「Built In Japan,Played Worldwide」をテーマに、発売初週で100万本を突破したバンダイナムコエンターテインメントの『ACE COMBAT 8: WINGS OF THE THIEVES』をはじめ、KONAMIの『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』、アトラスの『ペルソナ3 リロード』、今後控える『ペルソナ4 リバイバル』など、Unreal Engineを採用した日本の主要タイトルが紹介されました。
あわせて、Unreal Engine 5.9のプレビューが来週公開されることが発表されました。主な内容は次のとおりです。
- AIワークフローの改善
- ターゲットプラットフォームとしてのWeb対応
- レンダリングおよびアニメーション機能のアップグレード など
講演の最後には、日本語学習リソースの拡充、ゲームジャムなどの実践の機会、継続的な技術支援やビジネス支援を通じて、日本の開発者が次世代技術を円滑に導入できるよう支えていく方針が改めて表明されました。

ゲームからクルマ開発まで、幅広い分野のセッション
セッションでは、『ACE COMBAT 8』のフォトリアル表現、『龍の国 ルーンファクトリー』の里山エディット、『ドラゴンクエストVII Reimagined』のドールルック、EOSで実現した『Sonic Racing: CrossWorlds』のクロスプレイなど、ゲームタイトルの制作事例が並びました。自動車に関連するセッションとしては、次のような講演が行われています。
- 11月3日:「Hyundaiのインフォテインメント:Unreal Engineの導入と活用」(Hyundai Motor company)
- 11月3日:「Unreal Engineで進化する、クルマ開発向けドライビングシミュレータ」(日産自動車株式会社)
- 11月4日:「[Bliss] 3Dデータを、すぐ走らせ、すぐ描くUnrealを活用した新しいビジュアライゼーション体験」(日産自動車株式会社)
- 11月4日:「TOYOTAプロジェクト公開クリニック〜ビジュアライゼーション品質の追求〜」(トヨタ自動車株式会社、Arcnel 株式会社)
- 11月4日:「自動車向けEpic x Rightwareの提携、KANZI FOR UNREALのご紹介」(Rightware Japan)
会場では各種セッションのほか、展示ブースやUnreal Hubも用意され、11月4日には公式懇親会「Unreal Fest Closing Party」も開かれました。講演のアーカイブ映像は、後日公式YouTubeチャンネル「Unreal Engine JP」で公開される予定です。














